年齢による限界や経営が厳しいなど様々な理由で自分の店を畳まないといけないことがしばしばあります。
しかし、お店を閉店した経験がある人は少ないでしょう。
どのような流れで閉店の準備を進めれば良いのか、初めてのことで不安になることも。
そこで、この記事では飲食店閉店時の流れを費用を中心に解説します。
閉店時の注意点や居抜き物件として閉店する際のメリットなども解説するので、閉店の仕方にあまり詳しくない方はぜひご参考ください。
飲食店を閉店する際の手順
初めに、飲食店の閉店の流れを解説します。
ほとんどの場合、今から紹介する手順に沿って行えば、滞りなく閉店の準備を進められるので、ぜひご参考ください。
- 居抜き物件の売却を執り行ってくれる不動産会社に飲食店の売却を依頼
- 金融機関に借入金を相談
- 不動産会社への解約予告
- 従業員への解雇通知
- 取引先への閉店の報告
- リース品やレンタル品の返却
- 原状回復工事、または居抜き物件として売却
- 賃貸契約の解約
- 電気水道ガスの解約
- 行政機関への廃業届けの手続き
注意するポイントとしては、不動産会社への解約予告と従業員への解雇通知です。
まず、不動産会社への解約予告は、閉店を決めた場合はすぐに連絡しましょう。
契約によって、解約予告から解約まで3ヶ月から6ヶ月までの期間が定められており、その間の家賃も払わなければいけません。
そのため、家賃を少しでも節約するためにも、閉店を決めた際は今日、明日にでも解約予告するのが良いでしょう。
また、従業員への解雇通知は労働基準法の20条によって、30日前までに予告する必要があります。
そのため、閉店が決まった際は、従業員への共有もいち早く行いましょう。
「第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
労働基準法.” e-Gov法令
●前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。
●前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。」
飲食店を閉店する際の費用一覧
次に、飲食店の閉店時に発生する費用の一覧を紹介します。
事前にどのようなお金が必要なのかを把握しておくことで、トラブルなく閉店の準備を進められるので、ご一読ください。
原状回復工事費用
賃貸物件で飲食店を経営していた場合、一般的に原状回復を行ってから返却する必要があります。
基本的に、原状回復工事は規模が大きく、膨大なコストを要求されます。
相場としては 次の通りです。
規模ごとの一坪あたりの平均工事費用 |
|
---|---|
坪数 |
一坪あたりの費用 |
〜20坪 |
2〜4万円 |
30坪〜50坪 |
5〜7万円 |
50坪〜 |
8〜10万円 |
仮に、20坪程度の飲食店で経営を行っていた場合、原状回復工事費用は約60万円ほどかかります。
事前にそれだけのお金があるかを確認し、足りない場合は保証金から差し引かれるか、金融機関へ相談しましょう。
設備道具の処分費用
設備道具の多くはそのまま捨てることができず、処分にお金が必要になります。
処分業者に連絡して、どれくらいのコストがかかるか確認しておきましょう。
また、設備の種類や状態によっては買取をしてくれる可能性もあるので、買取業者に連絡をするのも大事です。
解約予告期間分の家賃
飲食店の閉店を決めてから、すぐにはお店を解約することはできません。
契約によって、解約予告から3ヶ月から6ヶ月ほどの猶予があり、その間の家賃も払う必要があります。
例えば、家賃が30万円ほどの場合は、最大で180万円は用意しなければいけません。
無駄に家賃を払わないためにも、閉店を決めた際はすぐに解約予告しましょう。
光熱費・食材費など
光熱費や食材費も解約までに発生してしまう必要経費です。
特に、光熱費などは自動振込の場合は関係ありませんが、それ以外の支払いだと、払い忘れているケースがときどきあります。
払い忘れをしていると、解約後に未払いの光熱費をトータルで請求されるので注意してください。
閉店日までの従業員の給与
当然ですが、従業員の給与も閉店日まで払い続ける必要があります。
また、従業員の通知は最低でも30日前までにしなければいけない点も覚えておきましょう。
リース料
調理器具や厨房設備でリース契約を結んでいる設備も解約しましょう。
リース期間が余っている場合や、途中解約違約金がある場合はその分の費用も用意してください。
まずはリースの契約書をチェックしましょう。
飲食店閉店時にチェックすべきポイント
閉店時にかかる費用を解説したところで、次は閉店時の注意点を紹介します。
トラブルなく無事に閉店するためにも、ぜひご参考ください。
賃貸借契約書を再度チェックする
解約予告する前に必ず賃貸契約書を読み直してください。
理由としては、契約書が原因で、予期しないトラブルが起こる可能性があるためです。
特に、注目すべき箇所は原状回復に関連する箇所。
原状回復工事とは、別名スケルトン工事といい、物件を入居する前の状態に戻すための工事です。
契約書には、どの範囲まで原状回復をするのかが定められているので、契約書の内容によっては工事費用が大きく変わります。
事前に現状工事の範囲をチェックし、予算を正確に把握して、滞りなく閉店準備を進めましょう。
また、解約予告から、解約までどれだけの期間が設けられているかも確認してください。
一般的に、解約までの期間は3ヶ月から6ヶ月ほどです。契約書は隅々まで読み直しましょう。
スケジュールを吟味する
解約までのスケジュールを綿密に計画するのも大事なポイントです。
特に、「いつ解約予告するのか」「いつまで営業するのか」は費用に大きく関わってくるので、可能な限り早いうちに決めましょう。
飲食店の閉店は居抜き物件で売却すると費用がお得
最後に居抜き物件として売却する利点を解説します。
少しでも閉店時の費用を抑えたい方はぜひご一読ください。
原状回復工事をする必要がない
居抜き物件として売却する最大のメリットは原状回復工事をしなくてもいいところです。
前述した通り、原状回復工事は膨大なコストがかかるだけでなく、トラブルにもなりやすいです。
例えば、20坪程度の飲食店を営業していた場合は、およそ原状回復工事の費用は60万から100万円ほどかかります。
これだけの大金が浮くのはかなり大きなメリットなので、居抜き物件として売却するのは十分アリでしょう。
造作譲渡代金が手に入る
造作とは、店内の設備や内装のことを指しており、この造作を新しい借り手に売る時のお金を造作譲渡代金といいます。
造作譲渡代金の相場としては、100万円から500万円まで幅があり、現オーナーが価格を決めます。
しかし、仮に400万円で売りに出しても、すぐに新しい買い手を見つけることは難しいです。
なかなか借り手が見つからない時は、価格を減額するなど条件を下げるのが良いでしょう。
また、契約時に減額を交渉されることもよくあるため、柔軟に対応しましょう。
年式が古くても高く売れる可能性がある
設備が古くても高く売れる可能性は十分にあります。
これは設備自体に価値があるわけではなく、立地自体に価値があると判断する借り手がいるからです。
仮に、老舗店舗並みに長い間営業していても、立地場所が人気の場合、数多くの企業から申し出の問い合わせが来て、造作譲渡代金の価格がオークション形式で跳ね上がります。
高額で売却されれば、閉店時の予算も十分ペイできるでしょう。
まとめ
閉店の費用を抑えるのに一番大事なポイントは、可能な限り速やかに行うことです。
閉店を決意した今日か、明日には不動産会社に解約予告をして、無駄な家賃を払わないようにしましょう。
また、内装工事リースなら、手元に資金がなくても内装工事を行えるため、原状回復工事の費用を準備するのが難しい方でも安心。
また、内装工事ローンの審査は最短当日、標準2営業日で結果が出るため、資金繰りに苦難している方にもおすすめです。
ゆとりを持って閉店準備を進めるためにも、ぜひ内装工事リースに依頼してみましょう。