保育園の開業を考えたとき、どのような形態で何人規模の保育園を開業しようと考えていますか。
保育園にはいくつか形態があります。
扱う年齢によって、雇う保育者の数も異なるので、具体的な計画が必要です。
開業までに必要な準備には、もちろん施設の場所も建物も必要。
開業資金としていくら準備すればよいのかも考えなくてはなりません。
そこで、保育園の開業に必要な準備や資金をまとめて紹介します。
開業資金がいくらかかるのか、についても紹介。
保育園開業までの基礎知識としてインプットしましょう。
保育園開業までに必要なもの
保育園を開業するまでには、さまざまな準備が必要です。
- 保育園を開く物件
- 保育士の確保
- 保育園の形態
- 安全な内装
職場としても、子どもたちが通う場所としても安心できる保育園を作りたいはず。
細部までこだわれるところはこだわって準備しましょう。
特に、保育園の形態や安全な内装は子どもたちに関わります。
子どもたちの保護者も気にする点なので、注意して準備を進めなければいけません。
保育園を開く物件
保育園を開くには、まず物件が必要です。
募集する園児の数や年代を考えて、必要な広さを確保できる物件を探しましょう。
保育園では、教室のほかに遊べる園庭が必要です。
遊具、砂場、手洗い場などが設置できる広さを考えて物件を選んでいきます。
設備を置いても十分園児たちが遊べる広さを確保できなければいけないので、シミュレーションは必須。
のびのびと遊べる園庭がある物件が良いです。
教室も、クラスと遊戯室が広く取れる建物をおすすめします。
保育園は、教育の場所でもありますが、子どもたちが遊ぶ場所でもあります。
窮屈さを感じず、楽しく集団生活を送れる場所にするために、教室内も広さを考えなくてはなりません。
計画している人数に適した物件を探して、開業準備を進めましょう。
保育士の確保
保育士の確保はマストです。
年齢が若い園児を受け入れる場合、保育士の人数も多く配置しなければいけません。
人数が多くても同じです。
そのため、保育士の数の確保は早めから始めましょう。
募集をすればすぐに集まるとは限りません。
国家資格を保有している人でなければいけないので、時間がかかります。
保育士は労働環境によって負担が大きいこともあります。
勤務形態を考えて、保育士に無理のない働き方ができる募集をかけましょう。
厚生労働省が定める人員配置を紹介します。
0歳 | 子ども3人に対して保育士1人 |
1~2歳 | 子ども6人に対して保育士1人 |
3歳 | 子ども20人に対して保育士1人 |
4歳以上 | 子ども30人に対して保育士1人 |
認可外保育園では、人員配置の際に看護師を雇うこともできます。
また、長時間保育を行えるのですが、その場合には園児が2人以上いるときは、必ず2人以上の保育士が必要です。
これらを考慮して保育士を集めなければいけません。
保育園の形態を決める
保育園の形態を決めましょう。
保育園の形態とは、認可保育園か認可外保育園か、ということ。
認可保育園では、園児の年齢に応じた保育士の配置と教室の広さの基準、開園時間が決まっています。
認可外保育園では、長時間保育が可能で広さも乳幼児1人当たり1.65平方メートルとシンプルな基準です。
認可保育園は基準が設けられており、継続して自治体の調査が入ります。
規定に沿った運営をしていく必要があり、提出する書類もたくさん必要なのが特徴です。
認可外保育園は、自由な風潮が許されている保育園として機能できます。
英語やモンテッソーリなど、教育に力をいれることも可能。
スポーツや身体能力向上などに重きを置くこともできるので、目的を持って子どもたちを育てたい人に向いています。
初めて開業する人にも、書類などの観点から準備が認可保育園に比べて簡単なのでおすすめです。
安全な内装を作る
安全な内装をつくることはとても大切です。
子どもたちが安心して遊べる環境をつくらなければ、親も通わせたいとは思えません。
危険がないように、角を丸くして作られた家具や、子どもたちの学習環境に合わせて作られた机や椅子も必要です。
思いっきり遊べるように、子どもたちの導線を邪魔しないことも重要。
段差やでっぱりのない、広さを感じられる内装が求められています。
室内は、無機質な壁や床ではなく、温かみを感じられる方が良いです。
子どもたち自身も安心して過ごせる空間として機能することも大切。
内装にはこだわって、安全かつ安心できる室内空間を準備しましょう。
保育園開業に必要な準備資金
保育園開業に必要な資金は、約800万円です。
準備資金だけで600万円、ランニングコストで毎月200万円程度かかります。
開業時は、数ヶ月先のランニングコストまで考えて準備をすることがマスト。
最低でも800万円。
できるならば1,000万円以上準備しておけると、軌道に乗るまで安心して運営できます。
準備資金は約600万円
保育園の開業にかかる費用は、およそ600万円です。
内訳として、
- 物件の確保
- 内装工事
- 設備費
- 備品と広告宣伝費
いずれも約150万円ずつかかります。
一般的に事業を始めるにあたって、費用がかさみやすいと言われている内装工事費用は、比較的安いです。
教室内のシンプルな内装が好まれているため、安価に落ち着いているのでしょう。
壁や床の素材などにこだわるとやや高くなりますが、飛び抜けて高額になることは少ないと予想できます。
園児を集めるためには、広告を打つことも大切な準備です。
チラシなどで周知をするので、作成費用として少し金額がかかることを知っておきましょう。
開業までの準備で約600万円が必要です。
ランニングコストは約200万円
保育園の運営には、ランニングコストが月200万円ほどかかります。
もっとも費用がかかるのは、人件費です。
園児の数が多ければ、それだけ保育士も雇わなければいけません。
保育士へ支払う給料も毎月かかるので、ランニングコストのひとつ。
3~5歳を受け入れている保育園で考えると、最低でも5~6人の保育士が必要です。
毎月25万円を支払うと仮定すると、6人で150万円。
ランニングコストの大半を給料としてかけているのが事実です。
削減できない項目なので、出費は減らすことが難しい項目。
利益を上げるには、園児を満員まで確保することがいちばん早い方法といえます。
しかし、保護者からの信頼を得られるのには時間がかかるので、保育園の運営を軌道に乗せるには時間が必要です。
毎月のランニングコストが痛手となり、運営を圧迫してしまう可能性があるので、注意しましょう。
資金は準備資金と運営費用も必要
資金は、準備資金と運営費用も合わせて準備しておくと安心です。
どの事業にも言えることですが、開業してすぐに軌道に乗るわけではありません。
特に保育園は保護者との信頼が、子どもを預ける理由になる場所。
安全に子どもを預けられる環境を整えること、親からの信頼を得られることが利益アップにつながります。
園児は年に一度入園するので、軌道に乗せられるかは年単位での覚悟が必要です。
運営資金は、半年以上確保できるのが望ましいでしょう。
物件や設備費用などの準備資金に加えて、運営費用を蓄えておける金額を準備してください。
費用の概算ギリギリで費用を工面してしまうと、問題が起きた場合や収益が得られなかったときに対応できません。
保育士の給料が払えないと、保育士の数の確保できないという悪循環に陥ります。
これでは、保育園を始めた意味がありません。
資金はできるだけ潤沢に準備しましょう。
1,000万円以上確保できると安心して開業ができます。
保育園開業のための資金調達や工夫できること
保育園開業のために必要な資金調達。
主な方法は、銀行からの融資を受けることです。
資金をできるだけ多く集めるだけでなく、金額自体を減らす工夫もできます。
保育園の開業には補助金が使えるので、申請すれば費用が返って浮かせることが可能。
内装工事リースを使うと、内装工事にかかった費用を分割して支払えます。
手元に資金を残せるので、少しでも資金を残したい人におすすめです。
銀行の融資を受ける
保育園開業のための資金調達でもっとも一般的な方法が、銀行の融資を受けることです。
比較的準備費用が安価とはいえ、ポケットマネーで工面できる費用には限界があります。
そこで、資金を銀行から借りるという方法を取ります。
銀行が、将来的に事業が安定し、返済も行ってくれると判断した場合に支給されるのが融資。
綿密な事業計画と計画性のある使い方を示す必要があります。
審査期間が1ヶ月ほどあるので、開業が決まったときにすぐ書類の準備を始めましょう。
少しでも早く融資の申請をすることで、資金の支払いに間に合います。
貯金額で融資できる金額が変わるので、貯金ができるだけ多い時期に申請するというのも戦略のひとつでしょう。
時期や金額などを考えて、銀行の融資を受けることで、資金調達が可能です。
補助金で金額を浮かせる
保育園を開業するにあたって、補助金が使える場合があります。
特に、認可保育園を開業する場合は、補助金が使えることが多いので確認しましょう。
代表例として3例紹介します。
就業前教育・保育施設整備交付金 | 設備費や防音などに支給される補助金。補助は金額の1/2待機児童解消プランに参加する場合は2/3に引き上げられる。 |
保育所等改修費等支援事業 | 賃貸物件を利用して保育園を開業する際、認可外保育園が認可保育園の基準を満たすべく改修する費用の支給を行う補助金。補助は金額の1/2待機児童解消プランに参加する場合は2/3に引き上げられる。 |
保育体制強化事業 | 掃除や消毒、食事の配膳などを行う助手のような仕事を担う人材を雇ったときに支払われる補助金。保育補助をする人1人当たり10万円。園外で子どもの見守りも担う場合は145,000円まで支給される。 |
いずれも人件費や内装費に使える補助金です。
費用がかかりやすいところをカバーできるので、準備費用を安くできます。
内装工事リースで資金を手元に残す
内装工事は保育園をつくるときに重要なポイントとしてあげられているひとつです。
シンプルで広さ重視の内装とはいえ、安全面を考えるとレイアウトにはこだわりたいでしょう。
小さい年齢の子どもを扱うのであれば、どこを触っても、口に入れてしまっても害のない素材が安心です。
このような、素材や材質に関するこだわりは持っておかなければいけません。
比較的安く済ませられるとはいえ、費用が膨れる可能性もないとは言えないのです。
物件費用や広告宣伝費などで資金を使うため、できるだけ手元に資金を残しておきたいはず。
ランニングコストのことを考えるとなおさらでしょう。
そこでおすすめなのが、内装工事リースを使うという方法。
毎月少額ずつ支払うことで、内装工事費用を返済します。
一度に大きな金額が動くことはないので、資金も手元に残したまま開業可能。
審査も最短で2営業日と短いので、今すぐ必要な人でも利用できます。
銀行での融資を受けている人も、受けられなかった人でもぜひ相談してください。
誰でも利用できる可能性があるサービスです。
内装費用をリースで支払って、資金を手元に残しましょう。
まとめ
保育園を開業するために必要な準備や資金についてお伝えしました。
保育園を開くためには、物件、保育士の確保、形態、内装などさまざまな準備が必要です。
特に保育士の確保は難しく、早くから募集をかけておくことが大切。
内装も、園児が安全に楽しく遊べる環境を作らなけれないけません。
怪我をしづらく、広く遊び回れる場所を作りましょう。
これらを準備するために必要な資金は、最低でも800万円です。
準備資金で600万円、ランニングコストで200万円以上という内訳。
資金は、ランニングコストを数カ月分含めた費用を準備しておくのがベストです。
軌道に乗せるまでに時間がかかる保育園の開業は、少しでも資金を集めておいたほうが良いでしょう。
資金の調達方法としては、銀行の融資を受けることがメジャーです。
補助金で金額自体を浮かせる工夫や、内装工事リースで資金を手元に残すことも可能。
内装工事リースは、融資と違って審査期間が短く、スピーディーな対応が特徴です。
今すぐ使いたい人にもおすすめなので、ぜひ検討してみてください。