新たに店舗を構えて開業する場合、店舗を設計した上で建築する必要があります。
その場合、法令による制限などもあるので、誰でも設計できるわけではありません。
また、既存の店舗のレイアウトを変更したい際にも、設計変更が必要です。
店舗の設計をおこなうためには、基本的に専門的な知識を有した業者に依頼する必要があります。
では、実際に店舗を設計する場合にどの程度費用が掛かるのでしょうか。
この記事では、店舗の設計費相場を紹介するとともに、設計を依頼する際の流れや費用を抑えるポイントを紹介します。
店舗設計で注意したい「設計」と「デザイン」の違い
店舗の設計をする際に、注意したいポイントとして店舗の設計とデザインは似て非なものであるという点が挙げられます。
具体的には、以下のような違いがあります。
◆店舗設計 設計とは、ものや計画を具体化するための検討や検証、試みを指す言葉です。 店舗設計とは、建物を計画する上で必要となる検討を実施することを指します。 そして、実際に建物が建築できるように作図する作業も含みます。 ◆店舗デザイン デザインとは基本的に設計と同義語となりますが、表面的な装飾を意味するケースが大半です。 よって、店舗デザインの場合は、店舗設計にプラスアルファの要素が加わったものと認識される場合が多いです。 また、店舗のコンセプトを含めた店舗内の空間イメージや世界観を表現することを指す場合もあります。 |
両者を比較すると、店舗デザインの場合はお客様の動線を意識したり、店舗として収益性を向上させたりするなど、マーケティング要素を含めた用語という形で使用される場合が多いです。
また、店舗設計は施工管理まで一貫して対応する業者が使用し、店舗デザインはデザイン会社が頻繁に使用する言葉です。
以上より、要約すると店舗デザインの方がプラスアルファの意味を含めている形となります。
店舗設計やデザインにかかる費用
店舗設計やデザインは、基本的には施工業者やデザイン会社に依頼する形となります。
実際に設計にかかる費用を算出する場合、以下の方法が用いられます。
- 総施工費から算出
- 坪単価で算出
各算出方法の詳細について、解説します。
総施工費から算出
総施工費から算出する方法とは、店舗を建築するためにかかった総費用をベースとして、一定の金額が設計費として計上される方式です。
設計費の割合としては、総施工費の10%から15%程度が計上されているのが一般的です。
設計と施工を一手に引き受ける業者の場合は、設計費の割合は総施工費に対しての割合が5%程度と低く設定されています。
総施工費をベースとして設計費を算出する方法は、設計デザインと施工の両方を請け負う業者で多く見られます。
ただし、総施工費は設計に着手してから、実際にかかった施工費用やインフラ整備などの費用も含まれるのが特徴です。
これにより、設計料の見積もりまでに時間がかかるのが難点となります。
坪単価で算出
坪単価で算出する方法とは、坪単価を設定して店舗の総面積をかけて算出する方法です。
目安として、1坪あたり3万円から10万円程度が相場となっています。
主に、設計デザインのみを請け負う業者でよく見られる計算方法となります。
物件の広さで設計料が大きく変動するため、事前に店舗の面積が把握できていれば、大まかな金額を試算できるメリットがあります。
施工にかかる費用
店舗を設計しただけでは、店舗が完成するわけではありません。
設計した図面に基づき施工工事をおこない、初めて店舗の枠組みが完成するのです。
よって、設計料と同時に施工にかかる費用も念頭に置く必要があります。
施工費用の内訳としては、主に以下のようなものが考えられます。
- 塗装や壁紙の張替え費用
- 床上げや床の張替え費用
- インテリアの購入設置費用
- 看板制作費用
- 電気やガスなどのインフラ工事
- 厨房機器費用
上記はあくまでも一例であり、店舗によっては他にも多くの費用が掛かるケースがあります。
また、居抜き物件かスケルトン物件かによっても施工費用は大きく変動し、一般的にはスケルトン物件の方が居抜き物件よりも5倍程度の費用が掛かると言われています。
居抜き物件の場合は、施工費用は200万円から400万円程度が施工費用の相場です。
居抜き物件であっても、既存の備品や設備以外にも看板を作成して設置したり照明、壁紙、床の変更が必要になる場合もあります。
さらに、設備の変更を伴う場合は配管などの変更が必要となり、費用が高くなるのが一般的です。
スケルトン物件の場合、物件内は空の状態となっているので、全面工事が必要です。
20坪から30坪前後の飲食店を出店したい場合、1,000万円から2,000万円前後が費用相場です。
店舗設計から施工までの流れ
実際に店舗設計を依頼してから、施工が完了するまでの流れとしては以下のステップで進みます。
- 企画と立案
- 基本設計の実施
- 実施設計
- 確認や申請
- 施工業者の選定と工事請負契約の締結
- 竣工・引渡し
各ステップの詳細は、以下のとおりです。
1.企画と立案
最初のステップで、依頼者のニーズなどを反映させて全体的な計画とどのように進めるのかの立案をおこないます。
現場を調査した上で、関連する法令や規制を洗い出し、それに順守した設計が必要です。
よって、法令や規制によってはニーズを満たした設計ができない可能性もあります。
2.基本設計の実施
企画と立案の時点で実施したニーズの把握などをベースとして、予算や構造などを適宜見直して、最終的なアウトプットとして基本設計図書を作図します。
基本設計図書はあくまでもベースとなる部分の設計となり、詳細は次のステップである実施設計で具現化していきます。
3.実施設計
実施設計では、基本設計を基本としてより詳細な図面を作図します。
この時点で、各種仕様や設備、施工内容の詳細も決定する流れとなります。
4.確認や申請
作図した設計図に対して、建設に関する法的基準のチェックを受けることを目的として、各行政機関へ申請しなければなりません。
もし、法令や基準を満たしていない場合、再度設計し直す必要があります。
5.施工業者の選定と工事請負契約の締結
デザイン会社を利用する場合など、設計と施工を別の業者が担当する場合、別途施工業者を選定しなければなりません。
最適な業者を選定したら見積りを取得して、工事請負契約を締結します。
6.竣工・引渡し
業者による施工が開始された段階で、設計業者が図面通りに施工しているのかをチェックをおこなうのが一般的です。
そして、工事終了後にも審査機関や設計事務所、そして依頼者が検査を実施して、問題ない場合は引渡し完了となります。
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できるだけ設計費用を抑えるために意識したいポイント
設計費用をなるべく抑えて店舗を建てたい場合、以下のようなポイントを意識してください。
- 施工まで一貫して担当する業者を選ぶ
- 著名デザイナーや建築家に依頼すると高くなりがち
- 下請けや孫請けが入ると中間マージン分が高くなる
- 各種助成金や補助金を活用する
各ポイントについて、詳しく解説します。
施工まで一貫して担当する業者を選ぶ
基本的な傾向として、設計と施工が別々の業者を選ぶよりも、設計・施工まで一貫して担当する業者を選定した方が費用を抑えられます。
これは、施工管理まで同じ業者内で完結することにより、費用を圧縮できるためです。
また、一貫して依頼した方が業者選定時の手間が省けたり、業者間の認識の違いによるトラブルの発生がないなどのメリットもあります。
著名デザイナーや建築家に依頼すると高くなりがち
設計を請け負う担当者が、有名なデザイナーや建築家の場合、設計料が高くなりがちです。
これは、店舗の設計に限らずどのようなものでも同じであり、ブランド力により費用が上乗せされる傾向にあるためです。
個性的な店舗を設計してもらいたい場合や「○○に設計してもらった店舗」などの話題性を重視したい場合以外は、特にこだわりが無ければ一般的なデザイン会社や業者に依頼するのが良いでしょう。
下請けや孫請けが入ると中間マージン分が高くなる
総合的に施工まで請け負う業者であっても、一部作業は下請けや孫請けに依頼するケースがあります。
特に、電気や配線・配管関連は下請け業者が入ることが多いですが、その場合中間マージンが発生して費用が高くなる傾向があります。
可能な限り、一貫して施工まで完了できる業者を選ぶと設計費用も安く抑えることが可能です。
各種助成金や補助金を活用する
店舗を建てる場合、各自治体などで補助金や助成金が適用できる場合があります。
補助金や助成金の給付を受ける場合、所定の条件を満たす必要があります。
また、審査を受けて通過しなければならない場合もあり手間がかかりますが、返済義務がないため適用できるものは積極的に適用しましょう。
まとめ
店舗を建てる際に、どうしても施工費用に注目しがちですが、設計費用もどの程度かかるのかを把握することは重要です。
設計費用は2つの算出方法があり、どちらがよりお得であるかを判断する必要があります。
また、施工業者を選ぶ際にも設計まで一括で担当する業者かどうかもよく確認したいポイントです。
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